AutoCAD のカスタマイズインターフェースのうち、 ObjectARX と .NET API は Microsoft 社の VisualStudio を使って開発します。OutoCAD2007 以降は VisualStudio2005 を使用しますが、対象のバージョンや API によってはサービスパックを適用できない場合がありますのでご注意ください。

バージョンごとの開発環境

AutoCAD ObjectARX .NET API
VC++8.0
(VS2005)
VC++8.0 SP1
(VS2005 SP1)
VS2005 VS2005 SP1
AutoCAD 2007 ×
AutoCAD 2008 ×
AutoCAD 2009

ObjectARX で開発する場合、AutoCAD2007 / 2008 は VisualStudio2005 に SP1 を適用することができませんでしたが、 .NET API ではいずれも SP1 を適用して問題ありません(*1)

余談ながら、.NET API は AutoCAD2005 から公開されています。しかし当時の .NET API は ObjectARX と比べて公開範囲がかなり限定されていたり、内部実装が AutoCAD2006 以降と異なる箇所があるなど、あまりお勧めできる開発環境ではありませんでした。

しかし AutoCAD2006 の .NET API では、カスタムオブジェクトを除いて ObjectARX とほぼ同等のレベルまで公開された上、内部実装のほうもずいぶん落ち着いたそうです。ただし .Net Framework の対応バージョンが古いため、開発環境として VisualStudio.NET が必要です。

AutoCAD2007 では .Net Framework 2.0 に対応しました。ジェネリックが導入されるなどフレームワークの機能自体が大幅に拡張されているため、より柔軟なプログラムを組むことが可能です。また既存の ObjectARX と連携するケースでは C++/CLI を使用しますが、こちらは言語仕様そのものが変わったこともあり、開発効率が圧倒的に向上しています。

上記のような理由から、.NET API によるカスタマイズは AutoCAD2007 以降をお勧めします。

開発環境の入手

困ったことに現在店頭に並んでいるのは Visual Studio 2008 ばかりで、Visual Studio 2005 以前の開発環境はすでに店頭販売を終了しています。
しかしカスタマイズをするためには開発環境が必要ですので、本稿では旧バージョンの Visual Studio を入手する方法について触れたいと思います。

店頭在庫を探す

実店舗で見かけることはまずないと思いますが、amazon には Visual Studio 2005 Professional Edition の在庫がまだあるようです (2008年8月現在)。

Visual Studio 2008 をダウングレードする

手元にインストールディスクがあるようでしたら、Visual Studio 2008 を買うことで旧バージョンの使用権を得ることができます。ライセンスだけを購入するようなものですね。

しかし旧バージョンの正規版が必要ですので、Visual Studio 2005 はあるけどライセンスが足らないという状態でなければ通用しません。おそらく、ライセンスを複数運用しているような企業でしか使えない手でしょう。

MSDN Subscription 付きのパッケージを買う (オススメ)

Visual Studio 2008 のパッケージを見てみると、"with MSDN *** Sbuscription" と書かれたものがあると思います。通常版よりも高価ですが、こちらは MSDN Subscription の加入権付きパッケージです。

MSDN Subscription に加入しますと、開発・テスト目的に限りますが、OSや開発環境などのライセンスがもらえます。MSDN Professional Subscription 以上ならこの中に旧バージョンの Visual Studio も含まれていまして、現在(2008年8月)でも「MSDN サブスクライバ ダウンロード」のページから Visual Studio. NET 以降(*2)の全ての Visual Studio を入手することができます。

OpenLicense で購入する

Visual Studio のライセンスのみを購入する方法です。現在でしたら Visual Studio 2008 のディスクが届けられますが、追加料金(ものによって異なる)を支払うことで、旧バージョンの Visual Studio を入手することができます。

ライセンス管理は楽になりますが、購入の手続きが非常に煩雑です。


旧バージョンの VisualStudio だけが必要ということでしたら、"店頭在庫を探す" が最も安く済むでしょう。
しかし Standard Edition がほぼ見つからない現在となっては、Visual Studio 2008 Professional Edition にもう 5 万円足して、"MSDN Subscription 付きのパッケージを買う" ことをおすすめします。
若干高く付きますが、その他諸々のライセンスのことを考えますとコストパフォーマンスは非常に高いと思います。

なおライセンスに関する詳細は、 Microsoft 社へ直接お問い合わせください。

更新履歴

2008/08/05
新規作成。
2008/08/28
Autodesk 社からの指摘により、開発環境の表を修正。
(MINERVA 深津貴成)
  1. ^ Visual Studio 2008 でも、プロジェクトのプロパティを変更することで .NET Framework 2.0 ベースのアプリケーションを作成することができます。弊社で試した限りでは Visual Studio 2008 で作成したアプリケーションも問題なく動作しましたが、 Autodesk 社は開発環境として Visual Studio 2005 を指定していますので、こちらでの開発をおすすめします。
  2. ^ 残念ながら、今となっては MSDN サブスクライバ ダウンロードをもってしても Visual Studio 6.0 を入手することはできません。以前、 SUN と Microsoft が JavaVM について係争をしていましたが、その和解条件として Visual Studio 6.0 など MSJVM を含む製品は 2005 年末で提供終了となりました。従って、AutoCAD 2002 以前の開発環境を新規に整えることは非常に難しいでしょう。